世界各国の原木を選りすぐり、突板に加工する天然木を探し出します。長年かけて培われた原産地との強固なネットワークにより、他では取り扱われない希少価値の高い樹種も少なくありません。経験と伝統によって養われた木を見る目とノウハウを活かして、木口の年輪や木肌から突板になった表情を読み取る技が求められます。
原木は土場で保管され、突板切削計画にしたがって製材を行います。まず樹皮がむかれ、実際に選木をした資材員による木取りが行われます。原木の持っている木目の魅力を最大限引き出せるように、鋸を入れる方向や角度を決めていきます。突板にするために製材された木のことをフリッチと呼びます。
フリッチを煮沸槽に入れ、切削に適した硬さまで柔らかくします。樹種やその木の状態によって、煮沸の温度や日数が異なります。煮沸により、灰汁(アク)抜きの効果も得られ、美しい材色が引き出されます。
板目、柾目、杢目など、削り出す木目により、スライサーやロータリーレースなどの異なる切削機でスライスします。材質の硬さや木理の方向によって職人が常に注意を払い、突板の品質管理が徹底されます。スライスした突板は、1枚ずつ丁寧に、状態を確認しながら積み重ねていきます。
切削されたばかりの突板は含水率が高くなっているため、大型の真空乾燥機で2-3日かけて乾燥させます。その他の乾燥方法として、プレスドライヤーを使用することもあります。乾燥工程により突板の性質は安定し、長期保存が可能になります。