――北三への入社を考えるようになったきっかけは何でしょうか。
森や樹木にかかわる職に就きたくて、大学では林学について学びました。
いざ就職を考えたとき造園業や建設業など仕事を通して木質材料を扱う企業は数多くありましたが、「木」を事業の根幹として扱う企業というのはごく一部でした。
そんな時、大学で行われた企業説明会で北三の人事担当者の方と出会い初めて実物の「ツキ板」を目の当たりにしました。
内装用途に合板などに貼り込まれる材料であると知っていましたが、こんなにも繊細で美しいものがあるのかと驚きました。それから企業訪問・工場見学に参加し、世界中から集められた銘木の数々に圧倒されました。
さらに直径数メートルもの原木からわずか0.2mmの厚さの「ツキ板」を生み出す加工技術には、他社にはないこだわりと情熱を感じました。
――お仕事の内容を教えてください。
私の所属する中央研究所は、新商品の開発と現行商品の品質管理を補助する戦略部門です。
新商品の開発では、お客様と直に接する営業からの声や工場の生産体制を意識した製品づくりが求められ、時にはお客様と営業と工場の3者の間に立って仲介・調整を行うこともあります。
2019年に移設した研究所には、製品サンプルをつくるための機械や燃焼試験、耐久試験を行うための施設など、業界内では珍しいほどの研究設備が整っています。そこで日々、新商品の性能テストや現行商品の品質維持、改善を行うための実験と考察を繰り返しています。
「ツキ板」は本来、天然材料であるため「生きもの」のように1つとして同じものがありません。お客様の要望に答えつつ持続的な生産が可能な「商品」にするには一筋縄ではいかない難しい材料です。
実験や試作が上手くいかず投げ出したくなるときもあります。しかし、そこでもうひとふんばり、試行錯誤を重ねていくと思いも寄らないところから良い結果が生まれることもある大変刺激的な材料です。
北三では既に金属やガラスなど様々な基材にツキ板を貼り合わせた多様な製品群の他、公共建築には欠かせない不燃認定を取得した商品など、業界に先駆けて開発・蓄積してきた技術が多くあります。
しかし、世の中で新しい素材が開発されていく中で、ツキ板へのニーズも高度化・多様化していることを感じます。現状に満足せず、日々研鑽を重ね、常に新しいものへの挑戦を続けていき、「ツキ板」を通して樹木が持つ魅力と可能性を世の中に発信していけるようになりたいですね。