HOXAN

インタビュー

平田美紗子氏Misako Hirata

豊かな環境で育まれた「センス・オブ・ワンダー」。

出身は北海道の札幌市で、定山渓温泉にほど近い地域です。自然に恵まれたところで、幼少期の頃から家族で頻繁にキャンプを楽しんでいました。その頃から絵を描くのが好きな子供でしたね。紅葉の時期になると、カラマツやシラカバ、ナナカマドなどの木々が織りなす色とりどりの葉っぱのじゅうたんがそれは見事で、歩くとふわふわしていたのを覚えています。

一番印象に残っているのは、学生の頃に訪れた大雪山の原生林です。倒れた老木の上に次世代の木が生えてきており、その様子は死屍累々として、いのちがめぐる自然の循環の中では自分がまるで小人になったかのような心境になり圧倒されました。大学では森林生態学を専攻し、木と共生する菌類に興味を持ち研究しました。目には見えませんが、森林の均衡を保っているのは生物を細かく分解する菌類の働きのおかげです。きのこをスケッチするときはとりわけ力が入りましたね(笑)。

林野庁に入ってからは、群馬や静岡、富士山といった林業の現場に長く携わらせて頂きました。竹やスギ、ヒノキなど北海道ではほとんど生育していない樹木をはじめて見た時は感動したのを覚えています。群馬でとあるプロジェクトを進めていた時に、参加者の方々に何か手土産を渡したいという思いから、活動の様子や森の中の生き物などをまとめたイラストレポートを描いて渡し始めたのが、今日につながるきっかけだったと思います。その後育児休暇を経て復帰をする際に、林野庁情報誌『林野‐RINYA‐』で一般の方に森林や林業をわかりやすく伝えるため、イラストを描かないかと広報室に呼んで頂いたのがきっかけで「お山ん画」が誕生しました。絵はずっと描いていないと腕が鈍るので、描く機会を頂いたことに感謝しています。

肌で感じたツキ板の美しさと、驚きの製造技術。

北三の茨城工場を取材した時は楽しかったですが、同時にどう表現しようかと悩みました。水彩画は木目を描くのに向いています。木のグラデーションや木目のゆらぎは手描きのタッチの雰囲気が丁度合いますね。自分が取材などで感じた実体験をベースに描くのですが、多くの職人技のリレーで生み出されるツキ板には、驚きがつまっていて、その魅力に納得しました。ツキ板の良さは様々な樹種のもつ特有の美しさを最大限に惹き出している点にあると思います。日本が誇れるツキ板製造技術と、その活用を通して木の良さが今後もさらに広がっていくことを願っています。

1枚の絵には、様々な情報が詰め込めますし、子供たちをはじめ林業とは関係のない一般の方々も見てくれる良いツールだと思っています。森林は守るところは守り使うところは使う、うまくバランスを取っていくことが大切です。自分たちが使っている木がどこから来たのか、ということを多くの人に知ってもらうためにも、林業の現場にスポットを当て、木の魅力を絵というツールを使ってこれからも伝えていきたいです。

林野庁情報誌『林野-RINYA-』(2016年10月号)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/kouhousitu/jouhoushi/2810.html

平田美紗子(Misako Hirata)
1978年北海道生まれ。現在は農林水産省林野庁 林政部企画課 林野図書資料館。

ボタニカルアートを得意とし、持ち前の観察力と表現力で動植物の魅力を生き生きと表現するところに定評がある。林野庁情報誌『林野‐RINYA‐』では初の試みである、漫画という表現手法を用いて日本の林業の活動の様子を描き、読者を木の魅力へと誘う伝道師的存在。

平田美紗子のお絵かき雑記帳 http://osanpozakki.sakura.ne.jp/